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オーストラリアへ移住した私が日本を離れて気づいた『日本の夫婦の婚姻関係とその在り方』

こんにちは。山本アンドリュー(@chokkanteki)です。

日本を離れて海外に暮らしを移した海外移住者(在外日本人)の生活、気づきを記事にします。

今回は、日本を離れて6年、オーストラリアのケアンズに暮らす「Yukippe」さんが感じた『日本の夫婦の婚姻関係とその在り方』です。

今や日本でも国際結婚は当たり前のように広まっていて、日本人と外国人の夫婦を街中でよく見かけます。育った環境が全く異なる二人にとって、「結婚」はもちろん「離婚」の場合であっても、それぞれが持つ価値観は大きく異なるはずです。

特に、人生において重要なイベントである「結婚」「離婚」は、果たして海外ではどんな考え方をされているのでしょうか。もちろん、国によって考え方は違いますが、オーストラリアに住んで6年という「Yukippe」さんが感じた、婚姻関係について、記事にしましたのでどうぞ。

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離婚はもはや珍しいものではない

オーストラリアに限らず、アジア圏外で離婚はそう珍しいものではない。オーストラリアで言えば、離婚率は50%以上、特に国際結婚カップルに関しては70%以上との報告もある。私の友人や同僚などの周囲の人を見てみても、8割以上が離婚経験者である。なぜこんなにも離婚率が高いのか、そこには日本とは全く異なった、オーストラリア人のもつ結婚及び婚姻関係のとらえ方が背景にある。オーストラリアではよく、パートナーという言葉を夫もしくは妻を表すときに使う。それは、夫婦関係が存在していても実際には婚姻状態にない、いわゆる事実婚のカップルが多数存在するからだ。

オーストラリアでは離婚するのに裁判をする

日本の離婚のシステムは両者間の納得の上で離婚手続きを踏む、もしくは、どちらかの一方の同意が得られない場合に、民法で定められた5つの法廷離婚原因条件を満たした案件のみ離婚裁判が開かれるのに対し、オーストラリアは結婚破綻主義をとっている。これは、どちらか一方が離婚を主張すれば、その理由にかかわらず離婚が認められるものである。日本と異なるのは、両者が同意している場合においても、裁判しなければいけないことだ。その手続きを面倒に思い、籍をはなから入れないカップルも多い。お互いが好きならば一緒に居ればいいし、そうでないならば離れればいい、彼らにとって婚姻届けはただの契約書類の一つである。

日本人が一定の交際期間を経た後、両親へのあいさつ、結納、入籍と段階を踏むように一歩一歩関係を育くんでいくのに対し、オーストラリア人はよい意味でも悪い意味でも展開が早急である。結婚したいと思えば籍を入れるし、子供ができたから、じゃあ結婚しようかという所謂デキ婚のケースが非常に多い。お互いをよく理解し合う前に一緒になるので、長い時間を過ごすうちに相手との価値観の違いや習慣の違いで摩擦が起きやすく、不仲の原因となる。

とはいえ、生活習慣や価値観の相違なんてものはオーストラリアに限ったものではなく、日本の夫婦間にも全然起こり得るものだ。しかし、日本の離婚率は昔に比べて上昇傾向にあるとはいっても、世界的に見ればかなり低い。それはなぜなのか、私は日本人が離婚に抱くネガティブなイメージに原因があると考える。

離婚と聞くとネガティブなイメージが思い浮かぶ?

バツイチという言葉がある。これは離婚歴のある者の戸籍に×がつくことからきているが、この×マークを持つ者に対して、日本社会の風当たりは大変厳しい。バツイチは結婚生活が破綻した者に対する一種の烙印だ。上記に挙げたように、日本の離婚裁判には法廷離婚原因の証明が必要であるのだが、その原因条件には不貞行為、モラハラやDV等の悪意の遺棄、精神疾患やギャンブル・アルコール・薬依存などがあげられる。

離婚と聞くと、人はこのような背景を安易に思い浮かべてしまう。そのため、日本人は周囲に社会不適合者とみなされぬよう、多少の不満であれば飲み込み、世間体を保とうと婚姻関係の継続を試みる。また、夫婦間に子供が存在する場合、養育環境の変化、子への経済的、精神的負担を避けるため、夫婦の関係は破綻していようとも、親としての責任から家族関係を遂行しようと努めるのである。

離婚をポジティブな選択肢と考える

対して、オーストラリアはというと、割合としては円満離婚が多い。例えば、長い婚姻関係で互いの愛情が恋愛としてではなく大切な友人・家族のようになってしまった場合、特に二人の間に問題はないが、人生の新しい恋愛的な意味合いでのパートナーを探すために離婚を選んだり、相手と価値観が合わず、どちらかがストレスを抱えるのであれば離れたほうがいい、と家族という形にこだわるのではなく、個々の人生に焦点をおいた、ポジティブな選択肢として離婚がある。

こちらでは、離婚歴を「一回目の結婚」「二回目の結婚」といったように結婚の回数で表す。これもかなり肯定的な言い回しであるように思う。片親に対しては国から税金の減額、免除また支援金の助成などの福利厚生がしっかりしているし、日本のように幼稚園の抽選から漏れるといったこともなく、各地に0歳から利用できる十分な公立の幼稚園が設置されていて、所得に応じ保育料は減額される。なので、片親であっても仕事と家庭の両立が可能であるし、そもそもオーストラリアは女性の就業率が高く、経済的に離婚後すぐに自立できるケースが多い。

残りの人生を自分のために使うべき

オーストラリアの有名なセレブ、オーランドブルームとミランダカーも離婚した元夫婦であるが、二人の間の恋愛関係が解消しただけで、これからも友人として互いに大事なパートナーであるし、二人の子供フリン君を育てる上で彼らはいつも家族である、と離婚時に語っている。離婚の際に母親が親権を持ち子供と暮らすケースが多いが、週末は父親のところに行ったり、お互いの新しいパートナーを交えて食事をしたりと、離婚後の元夫婦関係は良好であることが多い。

日本で熟年離婚という言葉が流行ったが、残りの人生を大切な時間として自分のために使いたいという前向きな考えに、私個人としては賛同する。離婚をダメなもの、悪いものと否定的にとらえるのではなく、人生の選択肢のひとつとして捉える柔軟さを、日本は少し学んでもいいのかもしれない。

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