こんにちは。山本アンドリュー(@chokkanteki)です。
今回は、日本を離れて暮らす在外日本人の生活、気づきを記事にします。
日本を離れて6年、オーストラリアのケアンズに暮らす「Yukippe」さんが感じた『日本の住宅事情』です。
その国の家を見ると、暮らしたこともないものの、現地の方がどんな生活を歩んでいるのか想像できます。
果たして、グレート・バリア・リーフの玄関口とも呼ばれるケアンズで「Yukippe」さんは日本とオーストラリアを比べてどんな思いを持ったのでしょうか。
オーストラリアのケアンズ在住者が日本を離れて気づいた「日本独特の食文化と高い安全性」
日本は全国土に対して可住地面積が少ない
日本は細長い島国だ。日本列島を縦列する形に山々がそびえ、平らな土地は比較的狭く、斜面が多い。なので、日本の住宅というものは限られた土地を有効活用するように建てられている。例えば日本はマンションの数がオーストラリアに較べて圧倒的に多く、さらに階数設定もかなり高く設定されている。なので、都会に出ると高層ビルからは少し圧迫感を感じる。一軒家にしても、基本的には地下及び二階建てと必要な部屋数を確保するのに、高さを利用する傾向にある。
オーストラリアは広い土地を活用できる
それに対してオーストラリアは、日本の国土の20倍ほどの面積を持ち、主要都市であるシドニー、メルボルン、ブリスベン、ケアンズから郊外へ少し車を走らせるとただただ何も無い土地が広がる。都市部の土地単価は年々上昇しているが、都市中心部郊外であれば広大な土地が格安で手に入る。
家のスタイルとしても、少子化とは無縁で、単一家族の絶対数の多いオーストラリアは基本的に4ベッドルームに2~3バスルームを設ける家が多い。広いリビングルームは、そのまま屋根付きのバルコニーとつなぎで使えるよう、大きなスライドドアや窓が設けられていて、BBQ好きのオーストラリア人が楽しめるような設計になっている。一部屋毎の広さも十分に確保されており、例えば私の住むケアンズでいえば、上記のような条件を持ったプール付きの家が4000万から5000万程度で手に入る。
オーストラリアは北海道に近しい
オーストラリアを簡単にイメージするならば、日本の北海道が近しい。日本の家は水周りに関して、他国と比べて独特の文化を持つように思う。オーストラリアの殆どの家では、バスルームに浴槽は設置されておらず、基本的シャワールームのみとなっている。リゾートやホテルでみられる浴槽は、その真上にシャワーが設置されていて、お湯に浸かることを目的に作られているようには思えない。日本人にかかすことの出来ない浴槽は、あくまで彼らにはオプションだ。
同じアジア圏でみてみても、東南アジアは基本的には暑いし、水は貴重なものであるのでお洗髪や洗顔はシャワーで済ますか、浸かりたければ川に浸かって身体を清める。隣国の韓国でさえ、浴槽で身体を温めるといった習慣はなく、ほとんどの家は浴槽を持たない。
日本のトイレは独自進化を遂げる
またトイレに関して、わが母国である日本ほど独自に進化し、実用的かつ機能性の高いものを開発、生産している国はないと思う。時代とともに和式から洋式へと家が変わり、生活スタイルの変化もあり、今の日本の家は殆どが洋式トイレを採用したものである。温度調整の効く、温水洗浄便座(所謂ウォッシュレット)の一般家庭への普及率は2016年には80%を超えた。
海外でよく見るのが便座の横に設置されたホースタイプの別途ウォッシュレットである。私の使い方がまずいのか、使ったことはあるが下着や便座は水浸しになり、使い勝手のよいものではなかった。高齢者や障害者には特に使い辛かろう。
私は日本では看護師と働いていたのだが、シャワー利用が状態的に困難である患者には、タオルで身体を拭く清拭すると共に、陰部の清潔を保つ方法として各部屋に設置されたトイレのウォッシュレット機能を使うことを患者に勧めていた。水温も、さらに水の強弱もコントロール出来、高齢者が簡単に操作出来るウォッシュレットは、医療面においても優れていた。よく海外からの旅行客が、日本でウォッシュレットをお土産として買って帰る姿を見るが、それも納得である。
日本とオーストラリアの塀の役割の違い
住宅の違いをさらに挙げるならば、日本とオーストラリアでは家を取り囲む塀(へい)の設置の仕方にも違いが見られる。日本の家は一戸建てであれば大抵玄関の前に門があり、そこから周囲を囲むようにガレージを含めて全体的にブロック塀で守られている。他人の家の構造や、中が容易に見えないようになっていて、プライバシー保護の観点からも、防犯の意味でもよく守られた造りである一方、少し閉塞感がある。
対して、オーストラリアの住宅は道沿いに大きな玄関、ガレージが設置され塀はあくまで隣と前後に位置する家との仕切りのような役目でしかない。日本がブロック塀を多用する一方、オーストラリアでは、その素材も多種多様で、それは木材であったり、植物であったり、煉瓦であったり外観への配慮が見られる。一方で少し背を伸ばせばお隣のリビングが容易く覗ける構造でもある。
家の中が見えてしまうような入口や窓は、大抵庭に面する大きなリビングルームにあることが多く、家の真後ろ塀沿いに回り込んで確認せざるを得ないので、防犯的な面でいえば、オーストラリアの堀がとくに劣っているといった印象はなく、庭はその分も広くとても開放感がる。
日本は日本の土地とその独自の生活様式、文化背景に沿った住宅スタイルをもつ。国毎で全く異なる住宅は、その国の個性を垣間見るようで楽しい。