こんにちは。山本アンドリュー(@chokkanteki)です。
今回は、日本を離れて海外に暮らしを移した海外移住者(在外日本人)を特集します。
皆さんの中にも、4月から新しく仕事を始める、引っ越す、進学するなど環境が大きく変わる方もいらっしゃるでしょう。
日本でも環境が変わると、慣れるまで時間がかかるように、海外に生活を移すとこれまで “普通” だったことが “普通” ではなくなります。特にコミュニケーションの部分は、否が応にも生活に直結するため、最も苦しむ部分でもあります。一方で、そのコミュニケーションの部分をクリアすると、海外での生活は格段に住みやすくなるでしょう。
今や海外で生活する日本人は100万人を超え、150万人に迫る勢いで増え続けています。今回は日本を離れて2年、南フランスで暮らす「Mari」さんの記事です。
長年慣れ親しんだ、日本を離れて感じた海外の日本人の感想をどうぞ。
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日本を離れて南フランスで暮らして2年…
日本を離れて南フランスで暮らすようになって早くも2年の月日が経ちました。日本ではフランス語やフランスと縁もゆかりもない生活をしていたのですが、何の因果かアメリカ旅行中にフランス人の夫と出会い、結婚して南フランスに移住することになりました。フランス語で知っている単語といえば、冗談抜きで “Bonjour”「ボンジュール」くらいだった私にとって、日本を離れて最初にスタートしたのがフランス語学習です。
まずはフランス語身につけるところから始まる
周りの人の会話を100パーセント理解できるまではまだまだ時間と勉強が必要ですが、1年間の語学学校と、南フランス現地での生活から、簡単な買い物や用足し、友人とのたわいない会話、家族との日々の生活でのやりとりには困らないレベルのフランス語力を身につけられました。
フランス人の驚くほどの会話力の高さ
フランス語の能力が上がって、周りの人の会話を聞き取ることができるようになればなるほど驚かされたのが、フランス人の会話力の高さです。語学のスキル云々の前に多くのフランス人は他人との会話を楽しんでいます。日本では赤の他人と他愛ない会話をして笑ったり、冗談を言い合ったりする人は少ないでしょう。
最初にフランス人の会話力の高さに驚いたのは、フランス人の義理母とレジを売っている女性との会話でした。義理母はあたかも彼女が自分の古い友人であるかのように、今日購入した食材の話や、気になっていた商品のこと、買った食材でできる簡単レシピといった会話を楽しんでいました。
フランスに来て間もない頃は、あまりに親しげに会話しているので、知り合いか友人なのかなと思って見ていました。しかし、後々聞いてみると知り合いではなく本当にその場であった瞬間に打ち解けて会話していたのでした。
日本で店員さんと話す機会はあっただろうか
確かに、日本ではレジの接客はとても迅速でお客さんと会話を楽しむ余裕がないし、南フランスと違って、週末に一週間分の食べ物を一気に買いだめする週間もないため、レジで会話する機会も時間もなかなかありませんが、この会話をする能力のおかげでレジの流れ作業を待っているのもさほど苦にはなりません。
フランス人の会話を豊かにするスキルとは?
義理の母親だけでなく、フランス人の友人たちも会話を豊かにするスキルがあります。フランスでは週末を家族や友人と集まって食事を楽しむ習慣がありますが、月に数回は顔を合わせているメンバーとの会話でも、とても楽しそうに今日あった出来事や美味しかった食べ物のこと、旅行先で驚いたこと、楽しかったこと、ショックを受けたことの会話を楽しんでいます。限られたトピックでここまで盛り上がることができるのは、会話の内容に細かい情報や、その場で感じた感情を表すスキルが高いからできることです。
特にフランス人の会話力の高さで関心するのが、相手を気遣って会話をしている点でした。例えばレジで接客している人に他愛ない話をするのは、日々同じ流れ作業をしていることで退屈しているだろうから、話しかけて気を紛らわせあげたいという思いから会話をしています。フランスの友人たちが旅行先での出来事を話したりするのは、他の友達に自慢したいからではなく、行ったことがない友人たちに、できるかぎる詳細を加えて旅行先の良さを伝えてあげたいという思いから会話をしています。自分が話したいことだけ話して満足しては会話のキャッチボールは成り立ちませんが、フランス人の会話力には相手を思いやって元気を与えるパワーがあります。
語学力だけでなく会話力も身につけるべき
日本を離れて、現地の言語が全く分からない状態で移住を決意すると、どうしても語学力をあげることに躍起になりますが、語学力を上げる一方で、その国の会話の力にも目を向けることの重要性を知りました。個人によって興味を持つ会話の内容が違うように、国によって、会話の内容を広げる方法が違っています。このことに気づいた瞬間、日本を離れてまた一つ成長したなと実感しました。